飛行機には「時速○km」といった単純な速さだけでなく、安全運航のために定められた多くの速度基準(V速度) が存在します。
これらは離陸・上昇・巡航・着陸のすべての場面で重要な役割を持ち、パイロットは常にこれらの速度を意識して操縦しています。
この記事では、記事内に登場するすべての速度を網羅し、それぞれの意味・目的・重要性を初心者にも分かるように解説します。
これらを理解すると、飛行機が「どれほど緻密な計算の上で飛んでいるか」がよく分かります。
V速度とは何か?
V速度(V-speeds) とは、航空機の運用において「守るべき基準速度」を示す航空用語です。
これらは機体性能・重量・気象条件などをもとに計算され、安全を確保するための絶対的な指標となります。
飛行機は設計される際、速度によって多くの制約を作られて指定された速度の範囲内であれば、この操作を行ってもいいと決められています。
加えて飛行機が安全に飛行するためにもこのV速度というのは作られているため実際にはかなりの種類が存在しているんです。
結論はこの速度が決められているからこそ飛行機は安全かつベストな性能で飛行することができるということです。
それでは本題!!
これらの速度は全て耐空性審査要領で決められています。
離陸に関係する速度
V1:離陸決心速度
V1 は「離陸を中止するか、続行するかを判断する限界速度」です。
この速度未満でトラブルが起きた場合は離陸を中止できますが、V1を超えた後は必ず離陸を続行します。
離陸時の安全判断で最も重要な速度です。
Vr:ローテーション速度
Vr は、機首を引き起こして離陸姿勢に移る速度です。
この速度に達すると、パイロットは操縦桿を引き、機体を浮かせます。
「飛び上がる動作」を始めるための速度。
V2:離陸安全速度
V2 は、片方のエンジンが停止しても安全に上昇できる最低速度です。
離陸直後はこの速度以上を維持することで、エンジン故障時でも安全な上昇が可能になります。
滑走路末端35ftで到達する速度であり失速の心配もなし。
双発機において特に重要な安全速度。
失速・低速域に関係する速度
Vs:失速速度
Vs は、揚力を維持できなくなり、飛行機が失速する最低速度です。
これを下回ると、機体は浮いていることができません。
飛行中で「絶対に下回ってはいけない速度」。
機体装備の制限速度
VFE:フラップ操作速度
飛行機にはフラップという離着陸時に使用する装置があるのですが速度制限がありその速度がVFEです。つまりVFE以下であればフラップを使用可能です。
この装置は空気抵抗がかなり大きくなるため、VFEを超過すると装置の一部が抵抗力に耐えかねてダメージを受ける可能性があるためです。
離着陸時の形態変化で必須の速度。
VLO:ギア操作速度
VLO は、ランディングギア(車輪)を出し入れできる最大速度です。
ギアを動かす「操作中」に適用されます。
面白いのはギアを展開するときと格納するときで速度が違うことです。
VLE:ギア展開最大速度
VLE は、ギアを出した状態で飛行できる最大速度です。
VLOより大きく、ギアを動かさなければVLOよりも早く飛行できます。
高速域・限界速度
VMO:最大運用速度
VMO は、機体が安全に飛行できる最大の対気速度です。
これを超えると、一定の安全率はありますが機体構造や操縦性に深刻な影響が出る可能性があります。(実際にはVDが絶対に超えてはいけない速度)
MMO:最大マッハ数
MMO は、音速に対する比率(マッハ数)で定められた最大速度です。
高高度では対気速度よりも MMOが制限になることが多い のが特徴です。
高高度巡航では VMO より MMO が優先されます。
その他の速度
Vx:最大上昇角速度
最短距離で高度獲得できる速度。
Vy:最大上昇率速度
最短時間で高度獲得できる速度。
Va:設計運動速度
最も飛行機の安全マージンが取れる速度。
気流が悪い時などはこの速度で飛行すると失速や機体破損の危険性が低くなります。
速度の「見え方」の違い
IAS(指示対気速度)
パイロットが計器で見る速度。
V速度は基本的にこのIAS基準(性格にはCAS)で設定されています。
TAS(真対気速度)
実際に空気の中を進む速さ。
高度が上がるほど IAS より TAS は大きくなります。
GS(対地速度)
地面に対する実際の移動速度。
向かい風・追い風によって大きく変化します。
なぜこれほど多くの速度が必要なのか?
飛行機は
- 遅すぎると失速
- 速すぎると機体損傷
という非常にシビアな乗り物です。
そのため、場面ごとに「守るべき速度」が細かく定められています。
V速度は単なる知識ではなく、命を守るためのルールなのです。
まとめ:飛行機の速度はすべて意味がある
- V1 / Vr / V2:離陸の安全を守る速度
- Vs:失速を防ぐ最低速度
- VFE / VLO / VLE:機体装備を守る速度
- VMO / MMO:構造と空力の限界速度
- IAS / TAS / GS:速度の見え方の違い
これらを理解すると、飛行機が「どれほど緻密な計算の上で飛んでいるか」がよく分かります。
まだまだありますが他のスピードはかなり専門的になるのでまた今度別のテーマに関連した時に紹介しますね。
VmcaとかVmcgとかパイロットは知っとかなければいけない大事な速度があるんです。
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コメント
本文初めの、用語について。
耐空性審査要領であり耐空~ではない。
国土交通省航空局にて定められている。
編集者はコピペせずにしっかり調べる事。
KH6Dさん
コメントいただきありがとうございます。
耐空審査要領となっていたところのご指摘ありがとうございます。
早速修正させていただきました。
一点だけ申し上げたいことは、コピーアンドペーストしていないため誤字となっています。
誤解を生むコメントは差し控えください。