飛行機の離陸距離と着陸距離とは?仕組み・計算方法・必要な滑走路長を徹底解説

航空

飛行機が安全に空を飛ぶためには、さまざまな性能計算が行われています。その中でも特に重要なのが「離陸距離」と「着陸距離」です。普段、私たちは滑走路を長く走って飛び立つ飛行機や、着陸後にブレーキをかけて減速する様子を何気なく見ていますが、そこには厳密な基準と計算が存在します。

この記事では、飛行機の離陸距離と着陸距離の定義から、それらが決まる仕組み、機種や環境による違い、そしてなぜこれほど重要視されているのかまでを、できるだけ分かりやすく解説します。航空ファンの方はもちろん、飛行機に乗るすべての人にとって知っておいて損のない知識です。

✈️ 離陸距離と着陸距離の基本定義

まず、「離陸距離」と「着陸距離」の定義を正しく理解する必要があります。多くの人は、離陸距離を「滑走を始めて機体が浮き上がるまでの距離」、着陸距離を「着地してから止まるまでの距離」だと考えがちです。しかし、実際の航空分野ではもう少し厳密に定義されています。

  • 離陸距離:滑走を開始してから、機体が地上を離れて高度35フィート(約10.7m)に達するまでの距離
  • 着陸距離:滑走路へ進入し、高度50フィート(約15m)で滑走路端を通過してから停止するまでの距離

つまり、どちらも「地面に接している時間」だけではなく、一定の高度を含めた距離として評価されている点が重要です。

💡 なぜ飛行機によって必要距離が違うのか?

飛行機の離陸距離や着陸距離は、すべての機体で同じではありません。同じ滑走路を使っていても、条件によって必要な距離は大きく変化します。その理由は、以下のような要因が複雑に絡み合っているからです。

まず大きな要素となるのが「機体重量」です。燃料を多く積み、乗客や貨物が多いほど機体は重くなり、必要な揚力を得るためにより高い速度が求められます。その結果、離陸距離は長くなります。着陸時も同様に、重い機体ほど制動距離が伸びる傾向があります。

次に重要なのが「気温」と「気圧」です。気温が高い、または標高が高い空港では空気密度が低くなり、エンジン性能や揚力が低下します。これにより、平地の空港よりも長い滑走距離が必要になります。

さらに、「風」も大きな影響を与えます。向かい風が強いほど、地上速度を抑えたまま必要な対気速度を得られるため、離陸距離は短くなります。逆に追い風の場合は、より長い距離が必要となり、安全上の理由から離着陸が制限されることもあります。

  • 機体重量:重いほど速度が必要になり、距離が長くなる
  • 気温・気圧:空気密度が低いと揚力・エンジン性能が落ち、距離が伸びる
  • 風向・風速:向かい風が強いほど必要距離は短くなる
  • 滑走路の傾斜や状態:傾斜があると加速・減速に影響が出る
  • フラップ(翼の補助装置)の設定:揚力を増やし、短い距離で離陸できるように調整する

これらのパラメータはフライトプランや機体性能計算に直結しており、実際の運航前に細かく解析・計算されます。

フラップと離着陸距離の関係

飛行機の翼には「フラップ」と呼ばれる可動装置が備えられています。離陸や着陸の際にフラップを下げることで翼の揚力が増え、比較的低い速度でも飛行が可能になります。

適切なフラップ設定を行うことで、離陸距離を短縮したり、着陸時の進入速度を下げたりすることができます。ただし、フラップ角度が大きすぎると空気抵抗が増え、上昇性能に影響が出るため、機体重量や滑走路長、気象条件に応じた最適な設定が求められます。

このような設定は、すべて事前に性能計算として行われ、パイロットは計算結果に基づいて運航しています。

🛫 飛行機が実際に必要とする距離の例

では、具体的にどのくらいの滑走路が必要なのでしょうか。一般的な目安として、以下のような数字が挙げられます。

一般的な大型機・中型機・小型機の必要滑走路距離の目安は次の通りです。

  • Boeing 777:約3,200m(10,500ft)
  • Boeing 767:約2,200m(7,200ft)
  • Boeing 737 / Airbus A320:約1,800m(5,900ft)

つまり、小型機でも2km弱、大型機だと3km以上の滑走路が必要になるケースがあるということです。

もちろん、これらはあくまで代表的な条件下での数値であり、実際には気温や重量によって増減します。そのため、空港ごとに就航できる機種が制限されているのです。

なぜ離陸距離と着陸距離の計算が重要なのか

離陸距離と着陸距離の計算は、安全運航の根幹を支える重要な作業です。もし必要な距離を正確に把握せずに運航すれば、滑走路をオーバーランするなど、重大な事故につながる可能性があります。

そのため、実際の運航では「計算上の最小距離」だけでなく、法規や運航規程に基づいた安全マージンを加えた距離が使用されます。これにより、万が一の事態にも対応できる余裕を確保しているのです。

まとめ:離着陸距離の理解が空の安全を支えている

飛行機の離陸距離と着陸距離は、単なる数値ではなく、航空機の安全性そのものを支える重要な要素です。機体性能、気象条件、空港環境など、さまざまな要因を考慮した上で、毎回綿密な計算が行われています。

私たちが安心して飛行機に乗れるのは、こうした見えない努力と科学的な判断が積み重ねられているからこそです。次に飛行機に乗る際は、ぜひ滑走路の長さや離陸の様子にも注目してみてください。

質問等ありましたらコメント、twitterからお気軽にどうぞ!

他にも航空関係の記事を書いていますので気になるものがあれば見ていってくださいね。

飛行機の重量制限8種類について①

日本の空港あれこれ②(滑走路長編)

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