飛行機が地面に衝突しない仕組み

航空

みなさんこんにちは、少しづつ暖かい日が増えてきて嬉しくなっているコロ助です!

今日は先日のTCASに引き続き、飛行機にはなくてはならない装備である「GPWS」について勉強していこうと思います。

TCASについてはこちら

GPWSとは何か??

Ground Proximity Warning System の略で、日本語では「対地接近警報装置」と言います。

このGPWSは文字通り地面への衝突を防止するため、つまりCFITの防止のために装備されています。
CFIT: Controlled Flight into Terrain

GPWS は5つのモードが搭載されています。

1.過大な降下率(Excessive rate of descend)

大体飛行高度の半分以上大きい降下率で降下しているときに”Sink rate Sink rate”の音声警告が発生します。
例えば、5000ft以下を-2500fpmで降下している場合などです。

2.過大な対地接近率(Excessive terrain closure rate)

地面(山なども含む)への接近率が大きく、墜落の危険性がある場合に”Terrain Terrain”の音声警告が発します。
視界が良く地面が見えていれば、パイロットの判断で飛行を可能ですが夜間などで地面が見えない場合には警報に基づき回避操作を実施しなければなりません。

3.離陸後の高度損失(Altitude loss after takeoff)

離陸後というのは直ぐに上昇率を維持してなるべく早く高度を獲得しなければなりませんが、その時に上昇率が得られていない場合”Don’t sink Don’t sink”の警報が発生します。

4.低高度での不完全な着陸形態(Unsafe terrain clearance when not in landing configuration )

低高度で完全な着陸形態になっていない、例えばタイヤが降りていない場合などに”Too low gear Too low gear”と警報を発します。

この警報がなった時には、安全な着陸はできないと判断し進入復行を余儀なくされます。

5.グライドスロープ下方への大きな逸脱(Descend below glideslope)

ILS進入中にグライドスロープより下方に1ドット以上離れると”Glideslope Glideslope”と警報を発します。

この場合は天気も良く、空港が視認できていれば進入続行することができますが、低高度など(主に1000ft以下)では安全のため進入復行をしなければなりません。

どの警報も危険度マックスと判断されるほどの状況であれば、最終的に”Pull up Pull up”の音声警報が発せられます。

GPWSの装備要件は??

TCASは航空法で客席数が19 または最大離陸重量が5,700kgを超え、かつ、タービンエンジンを装備した飛行機には装備義務を定めていましたが、GPWSはどうでしょうか。

客席数が9又は最大離陸重量が5,700kgを超えるピストン発動機を装備した航空運送事業の用に供する飛行機(航空法60条・施行規則147条)

となっており、航空会社の飛行機には装備義務があります。

つまりTCASと同様に飛行機の安全運航のためには必須となっているということですね。

GPWSの仕組み

ではどうやって地面を感知して飛行機に警告を出しているのでしょうか。

仕組みは飛行機の電波高度計を利用して、機体の高度と地面への接近率に基づき警報を発します。

そのため機体の真下を地面として認識するため、山が周辺にある空港などでは上手く働かないときもあります。

EGPWSって何??

最近はGPWSはもちろんですが、実はGPWSの強化版が装備されているんです。

それが

EGPWS: Enhanced Ground Proximity Warning System

です。

EGPWSの仕組みはシンプルで、地形データベース(地図のデータ)を利用して飛行機の現在地と周辺地形を照らし合わせることにより警報を発しています。

EGPWSの機能は3つあります。

1.Terrain Awareness Alert(TAA)

登録された地形データと機体の現在地や速度・高度に基づいて衝突する恐れがある周辺の地形を検知し、警報を発します。

2.Terrain Display(TD)

周辺地形がコックピットのディスプレーに、地面標高の差によって色分け(赤、黄、緑)して表示します。

3.Terrain Clearance Floor Alert(TCF)

滑走路からの距離と高度で作られる空間(Terrain Clearance Floor)に進入した場合に警報を発します。
着陸直前に飛行機の現在位置と高度が安全か、さらにその先が安全かを判断するのに有効です。

このようにEGPWSは地形データベースを利用することにより、飛行機の進行方向に対して前もって警報を発するため、さらに飛行機がCFITを起こすリスクを減少させてくれます。

しかしその反面、データベースを利用するデメリットもあります。

新しくできた空港などは地形データベースの更新が必要で、もし更新せずに着陸しようとすると警報が鳴ってしまいます。
ただし、更新が間に合わない場合はコックピットでGPWS自体のスイッチをオフにして着陸することもできます。

まとめ

このように現在はEGPWSも装備している機体がほとんどで、CFITが起こる可能性はかなり減少しているとは思いますが、やはり年に一度は訓練生の小型機での墜落事故(CFIT)をニュースで見たりしますので外部監視と事前準備はパイロットにとって一番大事ですね。

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