GPSに頼らずとも飛行を可能にしてくれる装備、IRS・INSとは

航空
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こんにちは、最近はやっと冬が終わったと思えば早くも春一番の兆しが見えてきていますね。

今回は最近ではほぼ全ての旅客機が使用しているRNAVに必要とされる重要な装備品について解説していきたいと思います。

その重要な装備品とは「IRS(自蔵航法装置)」です。

それでは見ていきましょう。

自蔵航法装置とは?仕組みと活用事例を解説

自蔵航法装置(Inertial Navigation System, INS)は、外部の信号に頼らずに、自身の加速度や角速度を測定することで位置や姿勢を推定する装置です。
GPSが使えない環境でも自己位置を把握できるため、航空機、潜水艦、宇宙探査機などに広く活用されています。

1.自蔵航法装置の基本原理

自蔵航法装置は、加速度センサー(加速度計)とジャイロスコープを組み合わせて動作します。

加速度計:XYZ軸の加速度を測定し、積分することで速度や移動距離を推定

ジャイロスコープ:回転運動を測定し、姿勢や進行方向の変化を検出

これらのデータをリアルタイムで統合し、現在位置を算出します。初期の位置情報を正しく設定すれば、外部のGPSや電波がなくても自己位置を維持できるのが特徴です。

飛行機の場合は飛行開始前に、Alignmentと言われる初期位置情報の設定を行っています。

レーザージャイロ例

2.自蔵航法装置の活用事例

 航空機・ドローン

飛行機やドローンでは、GPSとINSを組み合わせた「慣性航法システム(INS/GPS)」が一般的に使用されます。GPSが途切れた場合でもINSが補助し、安定した航行が可能です。

 潜水艦

水中ではGPSが使えないため、潜水艦はINSを主な航法手段としています。特に原子力潜水艦では、長期間の航行でも高精度の位置測定が求められるため、INSが重要な役割を果たします。

 宇宙探査機

宇宙空間では外部の基準点が限られているため、自蔵航法装置は必須です。例えば、火星探査機や月面探査ローバーはINSを活用して精密な移動を行っています。

 自動運転技術

自動運転車でもINSは重要な役割を担います。特にGPSが使えないトンネル内や高層ビルの間でも、安定した位置推定を行うため、カメラやLiDARと組み合わせて使用されます。

3. 最新技術と今後の展望

高精度IMU(慣性計測ユニット)の進化

近年では、MEMS技術(微小電気機械システム)の発展により、小型で高精度なIMUが登場しています。これにより、ドローンやウェアラブルデバイスなど、より多くの分野でINSが活用されるようになりました。

AIと機械学習の導入

INSの誤差(ドリフト)を補正するために、AI技術が取り入れられています。例えば、センサーのデータと周囲の環境情報を統合することで、より正確な自己位置推定が可能になります。

量子慣性航法の研究

従来のジャイロスコープを超える量子慣性航法の研究も進んでいます。量子センサーを用いることで、現在のINSよりもはるかに精度の高い航法が可能になると期待されています。

INSのまとめ

自蔵航法装置は、GPSに依存しない自己位置推定技術として、航空、宇宙、海洋、自動運転など幅広い分野で活用されています。近年の技術革新により、より小型・高精度なINSが実用化されつつあり、今後も進化を続けるでしょう。

INS技術がさらに発展すれば、より安定した自動運転車や精密な宇宙探査が可能になるかもしれません。

続いて、INSとIRSの違いについて見ていきましょう。

INSとIRSの違いとは?

航空機や船舶の自蔵航法(慣性航法)に関する IRS(Inertial Reference System) と INS(Inertial Navigation System) の違いについて説明します。

INS(Inertial Navigation System, 慣性航法装置)

役割: 航空機や船舶の位置・速度・進行方向を測定し、航法(ナビゲーション)を行う装置。

構成: 慣性計測装置(IMU: Inertial Measurement Unit、ジャイロスコープ・加速度計)とコンピューターを含む。

特徴:

• 外部の情報(GPSなど)に依存せずに自己完結型で航法計算を行う。

• 長時間の使用で誤差(ドリフト)が蓄積しやすい。

• かつては航空機や船舶の主要なナビゲーションシステムだったが、現在はGPSと統合されることが多い。

IRS(Inertial Reference System, 慣性基準装置)

役割: INSの発展形で、航空機の姿勢(ピッチ・ロール・ヨー)や加速度、地磁気データなどを測定し、フライト管理システム(FMS)やオートパイロットにデータを提供する。

構成: INSと同様にIMUを含むが、より高度なセンサーとフィルタリング技術を使用。

特徴:

• INSと比べて航法機能よりも姿勢情報の提供に重点を置いている。

• 航空機のフライトコンピューター(FMC)と連携し、航法精度を向上。

• 現代の旅客機では、INSの代わりにIRSが標準装備されていることが多い。

• GPSと統合され、IRS/GPSハイブリッドシステムとして運用されることが一般的。

INSとIRSの主な違いまとめ

項目 INS(慣性航法装置) IRS(慣性基準装置)

目的 自律的な航法(ナビゲーション) 姿勢・位置・速度の基準データ提供

主な出力 位置、速度、進行方向 姿勢(ピッチ・ロール・ヨー)、加速度、位置・速度

誤差補正 ドリフトが蓄積しやすい GPSと統合され補正が可能

主な用途 旧式の航空機や潜水艦、宇宙探査機 現代の航空機や宇宙機のナビゲーション

現在の使用状況 GPSとの統合が一般的 旅客機の標準装備

INSとIRSの結論

INS は主に自律航法を目的とする装置で、古いナビゲーションシステムに多く使われた。

IRS はINSの発展形で、姿勢・位置・速度の基準情報を提供し、GPSと組み合わせることで高精度なナビゲーションを実現する。

• 現代の旅客機では、INSの代わりにIRSが搭載され、GPSと統合運用されるのが一般的。

航空機の航法システムを理解する際には、INSとIRSの役割の違いを押さえておくと良いですね。

他にも飛行機に関連する記事を投稿していますので、気になるものがあれば読んでみてくださいね。

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