相手は自然

航空

みなさんこんにちは、線状降水帯が九州や西日本を覆っていてコンビニに行くにも一苦労ですね、、、

さて今日はそんな悪天候で思い出した話を紹介したいと思います。

安全とは何か

パイロットになってからよく聞かれることがあります。

「あなたが言う安全とはどのような状態ですか??」

もしこう聞かれたら何と答えますか?

正直かなり難しい質問ですよね。事故が起きないこと?それともルールを守っていること?

下にコロ助の意見を書きますが、自分で答えてみてくださいね。

国際標準(ISO)では「安全」はこう定義されています。

「許容できないリスクがないこと」、「危険をゼロにすること」

危険をゼロにすることというのは飛行機を飛ばすうえであまりにも不可能ですので、コロ助は前者の
「許容できないリスクがないこと」の意味を取ることにします。

「許容できないリスク」とは何か。

コロ助はそれを「パイロットが操作(コントロール)できる範囲を超えたアクシデントが起こる可能性」だと考えます。

このときパイロットが操作できる範囲は飛行機自体もしくはその中としています。

つまり、「今操縦している飛行機にどんなことが起こったとしても対処し得る」という状態がパイロットが管理できる安全な状態なのではないでしょうか。

優秀なパイロットほど対処し得る範囲が増えていくということです。

なぜ謙虚さが必要なのか

日本の文化では謙虚というのは美学としてよく言われますよね。

しかし海外の文化では謙虚さとは一歩間違えれば臆病、最悪の場合は無能として判断されます。

もちろん実力がすでに知られていれば別ですが。

それではパイロットの世界ではなぜ謙虚さが必要とされるのか考えてみます。

パイロットが一番恐れていることは何でしょうか。

以前に紹介したCRMスキルを覚えているでしょうか。もしまだ見ていない方はこちらから

今必要とされる「CRMスキル」とは

それはズバリ、その中で紹介したSHELモデルの「E」です。

SHELモデル

Environment=環境 今回は天候・自然を意味しています。

自然を前にすれば人が為すことはほぼ無力、もし飛行機が着陸間近に急な下降気流に遭遇した時、パイロットはもちろんウィンドシアーの回避操作を行うでしょう。しかしその下降気流が強力であれば残念ながら飛行機は墜落するかもしれません。

つまりパイロットの一番の敵は自然なのです。

自然を前にしては人は無力でどうにもできないことが起こりうるということをパイロットは知っている必要があります。

そのためパイロットは自然を前に謙虚=臆病、己の能力の限界をわきまえ、事前にそのような危険を回避するような考え方が求められるのです。

そしてこの謙虚さがあるからこそ、システムが複雑化していく飛行機についてもっと知ろう、自然を知ろうと勉強のモチベーションは維持されます。

それがパイロットでいるための社会への責務です。

まとめ

謙虚さが必要としつこく述べてきましたが、必要なのは謙虚さだけではありません。

パイロットは少なくとも飛行中は全責任を負っているため、客室乗務員等を指示しなければなりません。

そのときに謙虚過ぎて自信がなく見えるパイロットでは困るのです。

言い換えれば、適度な自信・キャプテンシー(captaincy)も同時に求められるということです。

良いパイロットになるには操縦の上手さはもちろんですが、適度な謙虚さと自信を両立させなければならないんだとコロ助は思います。

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