こんにちは、最近は春一番が吹き荒れて離着陸が大変なコロ助です。
やはりこの季節の成田空港や羽田空港は富士山からの山岳派の影響を受け、降下中から着陸まで常にラフエアーになりやすいのでお客様としても嫌だと思いますが、パイロットも同じ気持ちなんです(笑)
さて今回は久しぶりに航空知識関係の内容になります!
計器進入方式の種類について
1.精密進入(Precision Approach)
現状1番の正確性が高いとされる進入方式で、種類としては「ILS」・「PAR」アプローチがあります。
ILS進入の場合は、滑走路上にある地上施設から電波が射出され、航空機に水平方向・垂直方向の逸脱を表示します。
PAR進入は管制官がレーダーを使用して航空機を滑走路に着陸させるために低高度まで水平方向・垂直方向の指示を出し続けます。
2.非精密進入(Non-Precision Approach)
精密進入ほどの正確性がない進入方式で、「RNP」「VOR」アプローチ等が代表的です。
RNP進入は、RNAVをアプローチにも応用した進入方式で、簡単に言うとGPSを使用したものです。
VOR進入は、VORという航空保安無線施設を使用した進入方式で、VORは電波の往復を利用して航空機に対して航空機からVORまでの距離と方位を表示します。
RNAVについてはこちらの記事で詳しくまとめておりますので、気になる方は見てみてください。
計器進入方式は上記2種類に分類されますが、2つ目の非精密進入についてはやや込み入った話になってきます。
非精密進入とAPVについて
非精密進入を勉強する中で混乱しやすいのはAPVの立ち位置についてです。
APVとは「Approach Procedure with Vertical guidance」の略で、予めチャートで指定された垂直方向ガイダンス通りに降下する進入のことを意味します。
従来の非精密進入は滑走路に対して水平方向の情報は表示されますが、垂直方向についてはパイロットが自身で計算して滑走路に対して降下していく方式でありました。
つまりAPVを行うということは、飛行機に装備されているコンピューター内のデータ(公示されているチャート)に沿って最低進入可能高度まで進入するということを意味しています。
APV(Baro-VNAV)のメリット
それではAPVができることによって従来と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。
結果からいうとAPVが導入されることによって先ほど少し紹介した最低進入可能高度が非精密進入より低くなるというメリットがあります。
基本的に今の旅客機はCDA(Continuous Descent Approach)という、降下開始地点から降下を継続して着陸するという方針です。
理由としてはCFITの防止・経済性が挙げられます。
CFITというのは飛行機が操縦可能にもかかわらず、墜落することを意味します。つまりヒューマンエラーによる墜落です。
それではなぜこのメリットが生まれるかを説明していきます。
APVというのは先ほども説明したように、予め指定された降下経路を飛行して着陸します。
すると実際パイロットのできることはどうなるかというと、オートパイロットを使用して飛行することができます。
つまりパイロットの計算だけに頼ることなく、第三のパイロットであるオートパイロットの力も使うことによって、状況認識などにタスクを配分することが可能になります。
またAPVは航空局が検証したDH(Decision Height)まで降下できるので、悪天候時に着陸できる可能性が高くなります。同時にCFITの防止にもなっています。
APVのデメリット
APVにはデメリットも存在します。
細かいところも含めるといくつかあるのですが、1番と言っていいデメリットは「最低気温限界」が設定されるという点です。
つまり空港ごとにAPVを行ってもよい最低気温が決められています。
なぜかというと気温が低い場合、飛行機の高度計が示す高度と地上までの真高度を比較すると真高度が低くなるからです。気温10℃の違いで約4%の真高度が変化します。
この仕組みを説明すると長くなるので詳細は今度解説したいと思います。
まとめるとAPVをは気温が低すぎると真高度低くなりすぎてしまい、設定されている降下経路では安全が保証できないというデメリットがあるのです。
APV?Baro-VNAV?違いのまとめ
いかがでしたでしょうか。
この違いについて本格的に勉強することになるのは、航空会社に入ってからだと思いますがちょっと複雑な新しい要素になりますので、今のうちに雰囲気だけでも知っておくとアドバンテージになると思います。
またこれからはこのAPVが主流になってきますので是非自分でも整理してみてくださいね。
他にも航空関係の記事を書いていますので気になったものがあれば見てもらえると嬉しいです。
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