パイロットなら必ず知っておきたい「国際単位系(SI)」とは何か?

航空

航空関連の仕事では、単位が異なる場面が数多くあります。
「フィート」「ノット」は聞いたことがあっても、世界的な**「国際単位系(SI:International System of Units)」**の基本を押さえていないと混乱しがちです。

本記事では、SI 単位の基本から、なぜ世界で標準化されているのか、そして航空現場での実務との関係まで分かりやすく解説します。

そもそも「単位系」とは?

単位系とは、長さや重さ、時間といった物理量に対して一貫した基準を与える仕組みです。
例えば「長さ」を表すとき メートル(m) を使う、といった具合に統一された基準があると、国や産業をまたいでも混乱が起きません。

国際単位系(SI)が選ばれる理由

国際単位系は、1960 年に国際度量衡総会で正式に採択され、科学・工学・教育・製造などさまざまな分野で世界標準となっています。法令や規格でも SI に準拠することが求められるケースが非常に多く、異なる国・地域・産業でも共通言語のように扱われています。

SIのロゴ

しかし航空業界では従来からアメリカ製の飛行機が市場を席巻していたこともあり、一部の単位ではSIではないものが使われているのです。

機内アナウンスでも高度にはフィート[ft]、速度にはノット[kt]という言葉が使われているのを聞いたことがあると思います。

SI 単位の基本 – 7 つの基本単位

国際単位系の中でも「すべての基準となる基本単位」が以下の 7 つです。

SI 基本量単位名記号
長さメートルm
質量キログラムkg
時間s
電流アンペアA
熱力学温度ケルビンK
物質量モルmol
光度カンデラcd

これら 7 つを基準にして、他の物理量は組立単位(例:ニュートン・パスカルなど)として定義されます。

SI 単位が航空で役立つ理由

航空業界は歴史的経緯から、フィート、ノット、ポンドなど SI とは異なる単位が使われています。これにはアメリカなどの古い慣例が関係しています。

用途SI航空現場でよく使う単位
高度メートル(m)フィート(ft)
速度km/hノット(kt)
重量kgポンド(lbs)
距離kmノーティカルマイル(nm)

このように、航空現場では SI と異なる単位が標準になっているのは、パイロット・航空管制・運航管理での即時理解が重要なためです。

しかし理論・データ解析・国際標準文書などではSI がベースになります。SI の知識があると、公式データとの整合性や国際的なコミュニケーションがスムーズです。


SI 接頭語・倍量・分量を理解して数字感をつかむ

SI では 10 の倍や分の数量を表すために 接頭語(prefix) を使います。
これにより極めて大きい数や小さい数も簡潔に表せます。

接頭語10 の指数
キロ(k)10³1 km = 1,000 m
メガ(M)10⁶1 MJ = 1,000,000 J
ミリ(m)10⁻³1 mm = 0.001 m
マイクロ(μ)10⁻⁶1 μs = 0.000001 s

航空機の性能データや気象情報も、SI ベースで記述されることが多いため、接頭語への理解は必須です。

重さ

SI系はグラム[g]ですが、航空業界では以下の単位が使われています。

・ポンドまたはパウンド[lbs]

1[lbs]≒0.453[kg]

主に飛行機や燃料の重さ・エンジンの推力などに用いられています。
コロ助は頭の中で換算するときにステーキハウスのメニュー「1ポンドステーキ」を思い浮かべて、それが約450gだなと考えています。
0.45倍するのは簡単ではないので、kgに換算するときは約半分と覚えておけば良いと思います。

長さ

SI系ではメートル[m]が使われますが、航空業界では以下の単位が使われています。

・スタチュートマイル[sm]

1[sm]≒1600[m]=1.6[km]

一部の空港の天気を表記する際に使われることがありますが、国内線であればそこまで使うことは多くありません。

・ノーティカルマイル[nm]

1[nm]≒1850[m]=1.85[km]

目的地までの距離などを表す際に使われる表記で、日本では海里と呼ばれています。
[nm]の起源は1分という北極点から南極点までの距離を10,800で割った数になります。
この10,800という数字は、地球1周を360°北極点から南極点までの地球半周で180°、そこから60で割ったものを1分と表しています。

つまり1[nm]≒地球の円周[km]÷2÷180[°]÷60[分]≒1.85[km]

となるわけです。

この2つは正直かなり紛らわしい数字にも関わらず、よい覚え方も思いつかないままずっと使っていたら覚えていました(笑)

[nm]は他の単位にも関わってきます。

・インチ[in]

1[in]≒2.54[cm]=25.4[mm]

インチは飛行機の長さなどを表す際に用いられています。
ダブルプライム記号といって略して記す際は[“]とも表記されます。

高度

長さと同じくSI系ではメートル[m]ですが、航空業界では以下の単位が使われています。

・フィート[ft]

1[ft]≒0.3[m]

一部の国を除いて、飛行高度や飛行機の長さを表す際には国際フィートを用います。

このフィート(feet)とは足を表すフット(foot)から由来していますので、外人サイズの足を思い浮かべて30[cm]くらいと覚えておきましょう。

速度

SI系では時速[km/h]ですが、航空業界では以下の単位が使われています。

・ノット[kt]

1[kt]≒1.85[km/h]

ノットは1時間に1海里進むという単位ですので、単純に1時間で1.85[km]進むという換算になりますので約2倍または2倍して1割引くと覚えておきましょう。

・マッハ[mach]=音速

音速とは音が一定時間に進む距離ですが、外気温によって速度は変わります。
上空ではIASとTASの乖離が大きくなるため、大体の飛行機はMach0.70~0.88を維持するように飛行しており、「マックポイントエイトエイト(セブンセブン)」と言います。

温度

SIではケルビン[K]ですが、アメリカなど諸外国では以下の単位が使われています。

・ファーレンハイト温度[°F]

1[°F]=5/9K

ケルビンというのは正直日常生活ではほぼ使わない単位ですので気にしなくて良いのですが、海外のホテルに泊まると温度の単位が[°F]困ったという方は少なくないと思います。

問題はここからどうやって日本人に馴染みのあるセルシウス温度[°C]に換算するかです。

コロ助は大体の温度を知るために以下の式で覚えています。

°C=(°F-32)÷2

この式を覚えていれば、どちらへの換算も可能です。
もう一つ知識として、大体の場合[°C]よりも[°F]の方が大きいと思っておきましょう。
例えば、20[°C]≒74[°F]というようになります。

なぜ SI が世界標準と呼ばれるのか?

SI を世界標準とする最大の理由は 一貫性と互換性 です。

  • どの国でも同じ単位で測定
  • 科学・技術・教育文書で統一
  • 法令・規格で準拠が求められる

この統一性があるからこそ、異なる国や産業間でのデータ交換・解析がスムーズに行えるようになっています。


SI と非 SI の使い分け

すべてを SI で表す必要はありません。
日常生活や実務では、習慣的に使われる非 SI 単位も存在します。

例:

  • 時間(秒ではなく分・時間で表す)
  • 角度(度・分・秒)
  • 密度(g/cm³)

ただし学術・標準・国際コミュニケーションでは SI がベースです。

まとめ:SI を理解して航空も科学も自在に扱おう

本記事で理解すべきポイントは次の 3 つです。

  1. SI は国際的な共通単位系(基準が世界共通)
  2. 基本単位と接頭語を押さえると応用が利く
  3. 航空は歴史的な非 SI 単位が中心だが、SI を知れば標準データの読み解きが速くなる

航空・科学・工学の現場で迷わないためにも、SI は必ず押さえておきたい知識です。

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