こんにちは、コロナ感染者の増加で政府がどのような対応をするのか気になっているコロ助です。
コロナ規制が厳しい割に感染者が多い現状に違和感を覚える方も少なくないと思いますが、これからどうなっていくのか航空業界の者としては死活問題です。
さて今回は飛行機の安全性を担保する上で必須の知識と言える、「MEL」について解説していこうと思います。
MELとは
まずはじめに「MEL」とは何かを確認しておきます。
MEL:Minimum Equipment List
日本語では「運用許容基準」と呼ばれます。
の略になっていて、和訳すると最低限の装備表となります。
飛行機を安全に飛行させるとき、重要な点の1つが整備作業です。
しかし整備作業ができない海外の空港で、機体に不具合が出てしまった場合にその都度欠航させて、日本から整備士を呼んでいたら会社もお客さんも困ってしまいますよね。
そんなときに活躍するのがMELです。
飛行機というのは安全に飛行するために何重にも予防線が張られていて、もし軽微なもので何か1つが作動しなくても、実際は普通に飛行が出来るという装備品が多々あります。
安全率も同じように、実際の限界値までは余裕を持たせるという考え方で設定されています。
そこで整備作業ができないなどの場合には、MELを適用して飛行機の運航するということがたまにあるんです。
MMELとMEL
さきほど書いたMELというものの、更に上位規程としてあるのが「MMEL」です。
MMEL:Master Minimum Equipment List
日本語では「原運用許容基準」と呼ばれます。
MMELは飛行機が型式を取得するときに、航空機メーカー(ボーイングなど)が設計国の監督当局から承認を受けるものです。
それではMELとは何が違うのかを説明しておきます。
飛行機というのは、航空会社ごとに装備やカンパニーポリシーが違うので、それに伴いMMELの適用範囲が変わってきます。
つまりMELというのはMMELの範囲内で、航空会社ごとに適用範囲を変えた規程になるわけです。
MELの内容
それでは実際にMELにはどのようなことが書かれているのかを解説していきます。
1.適用アイテム・不具合事象
MELが適用できるアイテムの名称や不具合事象が書かれています。
例:Beacon Light INOP
2.実装数
本来、当該装備が実装されている数です。
3.最小作動装備数
当該装備の最小作動装備数で、要するに実際使用可能な装備数ということで「本来2つだが1つでも可」という意味です
4.修理しなければならない期限
もちろんいつまでもMELを適用しておけるものではないので、適用日から起算して何日後までには修理しなければならないと決められています。
しかし修理する物に期間は違い、一律で何日とは決められていません。
5.必要なアクション
MELの種類によっては、一部パイロットや客室乗務員の操作に制限をかけるものなどがあったり、使用不可のプラカードを貼ったりする必要があります。
MEL適用の流れ
それでは実際のMEL適用の流れを解説していきます。
ちなみにMELというのは飛行機の飛行中(スポットアウト~スポットイン)は、適用されず機長の判断によってダイバート、GTBなどが行われます。
ちなみにその時の判断のために、MELを使用することは有効的です。
1.次便の準備開始
2.客室乗務員が安全点検中に「客席のリクライニングが戻らない」不具合を発見
3.機長が目視確認し、本拠地の整備士に連絡
4.諸事情で整備不可能なので、MELを適用してほしいと打診される
5.機長も客席数と予約数には余裕があるので、MEL適用を承認
6.ディスパッチャーに、MEL適用の旨を伝えフライトプランの変更を行う
このようにMELを適用するときには、整備部の責任者とディスパッチャーと機長の三者協議が必要となるので注意しましょう。
仮にここで間違ったMELを適用してしまった場合は、後日航空局に報告が必要になりますので注意です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
このMELという考えは基礎訓練中ではあまり馴染みがなく、航空会社に入ってから詳しくなる分野になってくると思いますが、考え方としては非常にシンプルですので知っておくと後々苦労が減りますので、頭の片隅にでも置いておくのもいいと思います。
他にも航空関係の記事を書いていますので気になるものがありましたら、読んでみてくださいね。
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