こんにちは、年末年始しっかりと働いてきたコロ助です。
ただ新年早々、航空業界には激震が走り今もなお尾を引いている状態です。
今回は現役パイロット視点からの、当航空事故について現状の解説と個人的な考察をまとめていきたいと思いますので、参考になれば幸いです。
羽田空港での航空事故概要
場所は東京の羽田空港、滑走路は34R(C滑走路)のC5付近です。
2024/1/2、17:47頃に上記の場所で着陸機JAL516便、離陸機海上保安庁機が衝突しました。
1/16現在、JAL側(JAL516)にはけが人が14人、海上保安庁機(JA722A)は5名が死亡したと報じられています。
今回の航空事故の焦点は管制指示を遵守していたか否かでした。
当時の管制交信記録
17:44:56
管制→JAL516
「Runway34R cleared to land. Wind 310 degrees 8kt.」
17:45:01
JAL516→管制
「Runway34R cleared to land.」(確認のための会話でリードバックと呼ばれるもの)
17:45:11
JA722A→管制
「On C Taxiway.」
17:45:11
管制→JA722A
「You are No.1. Taxi to holding point C5.」
17:45:19
JA722A→管制
「Taxi to holding point C5. No.1 thank you.」(リードバックとお礼)
重要な管制の記録はここまでです。
管制記録の解説
上記の管制記録から、実際に管制指示を違反しているのは海上保安庁機であることがわかります。
それはJALは「Cleared to land」と着陸許可を管制から受領しているのに対し、海上保安庁機はHolding pointと呼ばれる滑走路進入待機位置までの走行許可しか得ていないからです。
ただこの管制記録からは次のようなことが読み取れます。
通常パイロットというのは自分たち以外の飛行機に対する指示も聴取することで、周囲の状況認識に努めています。
しかし今回の時系列順に管制記録を見てみると、海上保安庁機は管制移管によりJALへの着陸許可を聞けていない可能性があったかもしれません。
とはいえ、海上保安庁機に対する管制指示には滑走路進入許可は含まれていないため、管制指示違反に当たります。
羽田空港での航空事故についての考察
ここまでの内容はニュースを見ていれば、ほぼ知っていることだと思いますので、ここからはコロ助の個人的な意見を書いていきたいと思います。
今回の事故を見て、改善できた若しくはこれから改善すべきであろう点は2点です。
1.羽田空港の空港灯火メンテナンス
実質日本の玄関となっている羽田空港ですが、パイロットなら誰しもが感じているであろう「NOTAM」の多さ。
そこには今回焦点の1つとなっている、滑走路状態表示灯(RunWay Status Light)の非点灯も含まれています。
羽田空港という大空港で、毎日毎日たくさんの空港灯火が非点灯となっています。
この点に関して、海外の大空港と比較してみると羽田空港の非点灯灯火の多さは異常に感じています。
もしあの日にRWSLが運用されていたら、この事故は防げていたのかもしれません。
2.管制官のWorkload management
ワークロードマネージメントといえば、CRMの5項目のうちの1つで、航空業界ではかなり知られていることですが、羽田空港は常にトラフィックが多い空港ですので、それを捌く管制官もかなりのワークロードであることは間違いないでしょう。
今回もレーダーディスプレイでは異常接近の警告が点灯していたらしいですが、管制官は見落としてしまっているそうですので、それほど余裕がない状況ということが伝わりますね。
しかし安全第一の航空業界で、地上にいるとはいえ管制官がそのような状況で何時間も働くのはいかがなものでしょうか。
安全を担保できているのでしょうか。
また今回コロ助が疑問に思っていることが1点あります。
それは海上保安庁機にはTCASが装備されていたのか、それを作動させていたのかという点です。
この点に関してはもう事故調査報告書を待つしかないのでしょうか。
羽田空港での航空事故についてのまとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の事故は世界的に見ても、かなり悲惨ですがJAL機の死者がいないのは本当に不幸中の幸いで、奇跡と言えます。
今年に入って既に何件か地上での飛行機同士の接触が報じられています。
定時性・経済性を追求したい気持ちは分かりますが、やはり安全第一という言葉を今一度胸に刻みたいと思います。
RWSLについての記事も書いていますので、少し詳しく知りたい方は読んでみてくださいね。
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コメント
色々自習しているだけの素人です。管制指示違反とRWSLについては全く同感です。
RJTT ATISを聴いていて、同じ滑走路でも出発と到着で周波数を分けていることがあると認識しています。ハンドオフのタイミングの兼ね合いというより、海保機がApproachの方の交信をまったく傍受していなかった可能性があると思いました。国交省発表では時系列を分かりやすくするために録音をミックスしたのかなと。意識の高いパイロットなら、COM1をDepartureに、COM2をApproachに合わせて、両方聞くものなのかもしれませんが…
確認しようにもLiveATC.netのアーカイブはとっくに消えていて追えませんでした。事故調の報告待ちですね…
一読並びにコメント頂きありがとうございます。
たしかにニュースなどで公表されている内容はミックスされている可能性がありますね。
基本的に離着陸機ともに滑走路に近づくと、最終的な離着陸許可を発出するタワー周波数に移管されると思われますので、そこでお互いが聴取できればよかったのかなと考えております。
また海保機の使用はわかりませんが、エアライン機は基本的にCOM1をATC、COM2を121.5という航空非常用周波数を聴取することになっていまして、APPの周波数を聴取することは特殊な運用と言えるかもしれません、、、
とはいえ、実際はフラシム民さんの運用の方が状況把握に繋がるのは明らかですね。
ちなみに私もLiveATCを聞こうとしましたが、同じく聞けませんでした、、、
是非またコメント頂ければ嬉しいです。