こんにちは、新年度前の春休みシーズンですね。
この時期になるといろいろな事情で空港に訪れている人がいるんだなということがとても良くわかります。
就職・進学・転勤など理由は様々ですが、地方の空港では任期を終えて転勤になるのであろう先生を生徒さんたちが泣きながら見送るシーンがあったりして感動します。
こんなシーンを見れるのは他にはあまり無いのではないでしょうか。
飛行機の燃料搭載量はどうやって決めるのかの前提
さて今回はパイロットをしていると、燃料に関して考えることはしばしばあります。
飛行機の話に入る前に、身近な車の燃料(ガソリン)に置き換えて考えてみましょう。
例えば、東京から名古屋に行くとなったときに、ガソリンの必要量は決まっているでしょうか。
途中で給油すればいいとか、高速道路で給油すると高くつくから満タンにして行こうとか、それはきっと人によってそれぞれ変わってくると思います。
というのもそれは車は常に地上にいて、停止することができるからですよね。
飛行機に話を戻すと、当たり前ですが飛行機は一度離陸してからは停止することはできません。
つまり目的地着陸・到着までに燃料が足りなかったでは済まないのです。
そこでパイロットは出発前に飛行計画を提出するとき、着陸までに必要な燃料搭載量を考えます。
最小必要搭載燃料量は法律で決まっている
実は飛行機を飛ばす際には、しっかりと航空法第63条・施行規則153条・告示で最小必要搭載燃料量は定められています。
条文では難しく書かれていますが、簡単にまとめていくと最低限必要な燃料は6つに区分されます。
1.Burn-off fuel
離陸して目的地に着陸するまでの燃料です。
2.Taxi fuel
離陸するまでと着陸後に駐機場まで地上走行するための燃料です。
3.Alternate fuel
目的地飛行場で進入復行をして、代替飛行場に着陸するまでの燃料です。
4.Reserve fuel
1500ftでホールディング(待機)をする予備の燃料です。
5.Contingency fuel
Burn-off fuelの5%または目的地上空1500ftで5分間ホールディングできる量のどちらか多い方の燃料量で、不測の事態に対応するための燃料です。
※航空運送事業者が運航規程で定めている場合は3%に相当する量。
正式な文章を見たい方はこちらから
6.Additional fuel
ETP(出発地と目的地の中間時点)で1エンジン不作動になった場合または与圧機能が損なわれた場合に、最寄りの飛行場に着陸するまでに必要な燃料量とその飛行場上空1500ftで15分ホールディングできる量で、上記1~5の燃料量では足りないときに足さなければならない燃料です。
以上が最低限搭載が必要な燃料量で、「Required fuel」とも呼ばれます。
パイロットの意思が反映される燃料
さきほど解説したのが法律上、最低限搭載しなければいけない燃料量なのでパイロットの意思は関係ありません。
それではパイロットは燃料に関して考えなくて良いのかというとそうではありません。
もし航路上に積乱雲などがある場合や巡航高度に揺れが予想されている場合、目的地の天候が悪化する可能性がある場合などは、もう少し余分に燃料足して問題解決しようと考えます。
そのときにパイロットが足す燃料の名称を「Extra fuel」と言います。
和訳すると「追加の燃料」となり、法律上は必要とされないが運航上パイロットが必要と判断した分の追加燃料です。
飛行機の燃料搭載量のまとめ
いかがでしたでしょうか。
意外と燃料量について深く考えるのはパイロットくらいなのかなと思ったのでまとめてみました。
ちなみにコロ助は車のガソリンは走行可能距離が50km未満になったら追加する派です。
他にも航空関係の記事を書いていますので見ていただけたら幸いです。
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