こんにちは、新年からフライトできて満足しているコロ助です。
北海道や北日本の方は天気が悪くて外出が難しかったと思いますが、楽しいお正月は過ごせましたでしょうか。
年末年始の新千歳空港はかなり降雪が酷くて、パイロットもかなり大変でした、、、(笑)
さて今回は久しぶりにフライトに関する記事を書いていこうと思います。
管制圏の速度制限変更
フライトされている方はご存知かもしれませんが、年末に管制圏での速度制限(200kt)が撤廃され、10000ft以下の管制区における速度制限(250kt)に変更されました。
この航空法の改訂はパイロットにとってはかなり大きいもので、実際のオペレーションに関係してきます。
管制圏とは?
空港にはいくつか種類があり、飛行機が多く就航する空港には管制業務という飛行機に指示を与える業務を行う人=管制官がいます。
管制官がいて、管制業務が行われている空港には空港の半径5NM、高度3000mの管制圏が国土交通省より告示で公示されています。
つまり空港周辺の特別な空域というわけです。
速度制限とは
速度制限とは航空法82条で定められている、指定空域内での飛行速度の制限であり、具体的には先ほども書きましたが、10000ft以下の管制区では飛行速度を250kt以下に抑えなければなりません。
そして今までは管制圏内を飛行する場合の速度は200kt以下に抑えなければなりませんでした。
この速度制限はフライト中に他のことに集中していたり、うっかりしていると忘れてしまうことがあり、たまーに航空法に抵触しそうになることもあるので、パイロットにとってはかなり身近な航空法と言えます。
何のためにある航空法なの?
それではもともとこの航空法は何のためにあったのか考えてみましょう。
航空法はもともと何の目的でできたのかは以前の記事でまとめていますので、見てみてくださいね。
簡単に要約すると航空法は飛行機を安全に飛ばすために作られた法律ですので、この速度制限も安全のためにあるのだと推測できますが、速度を抑えるという点から考えてみましょう。
1.衝突防止
車も同様ですが、細道などでは衝突事故防止のために速度制限が設けられていますよね。
飛行機も離着陸のために、多くの飛行機が低い高度を飛行することが予想される空域では速度制限が設けられているのでしょう。
2.レーダー誘導の安全性
管制圏では離着陸を行う飛行機が多く、管制官はその飛行機が安全に間隔を保てるようにレーダー誘導と呼ばれる方向指示などを行います。
そのときに飛行速度が大きいと管制官のワークロードは増えてしまい、安全性は損なわれます。
考えられるのはこれくらいでしょうか。
今回の変更の意図は??
それでは今回、管制圏での速度制限が改訂されたのはなぜなのでしょうか。
安全のための速度制限が緩和されたのは、安全性が低くなったということなのかと言えば、違うのでしょう。
ずばり、コロ助的にはこの航空法変更は管制官の責任範囲をパイロットの責任範囲に移したように捉えられます。
基本的にIFRで飛行している飛行機は管制官からの指示に従って飛行しているため、もしTCAS RAなどの事象が起きた場合は管制官にも責任が問われます。
管制圏の速度制限を緩和するということは、パイロット側がもっと外部の監視をして、自分たちでも対応してねと伝えてる気がします。
国際的にみるとどうなのか
国際的には、やはり管制圏(Control zone)と同等の空域では、速度制限が200ktくらいで設けられており、通常管制官からの許可をもらっての200kt以上での飛行を行っています。
ですので国際的にみても、一括して管制圏の速度制限緩和は珍しいでしょう。
まとめ
結局この改訂は良いのか悪いのかで言えば、一長一短で、許可がなくとも250ktで飛行できるので飛行時間短縮になったり、騒音軽減できたりするでしょう。
一方でもし何かあった場合の責任を取るのはパイロットですので、やはり適切な状況判断ができていない場合にはリスクのあるものになります。
そしてその状況判断はそれぞれの飛行機ごとにパイロットの判断は異なるので、250ktで飛行している飛行機もいれば、200ktで飛行している飛行機もいるので、他機との間隔をよく見ておく必要がありますね。
つまりこの変更は上手く使えば効率的な運航に繋がり、下手すればインシデントに繋がるリスクがありますね。
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